てらこや新都心のあるこの辺りは、昔は北足立郡木崎村と呼ばれていました。
今のてらこや新都心は、私が生まれ育った家です。
家の周囲には、林や畑が広がり、セリの採れる清らかな小川が流れる自然あふれる地域でした。
夏の夜には、その小川に舞うホタルの不思議な光に、目を見張っていたものです。
私は、そんな中を春にはレンゲの花を摘み、秋にはくりを拾い、畦道を駆け回りながら大きくなりました。
そのころは、小鳥の声で雨が上がったのを知り、蝉の鳴き声で梅雨が終わったのを知りました。
風の音に耳を傾け、カエルや虫の声に囲まれ、サヤサヤとなる木の葉の音やびっくりするように大きな雷の音など、周囲は様々な種類の自然の息吹にあふれていました。
その、どれもが私にとっては何かを語りかける自然との交流だったのを覚えています。
今は、家が建ち、林が消え、大マンション群ができ、私が小さい頃に周りに溢れていた自然の声もめっきり少なくなりました。
今、てらこやに集う子どもたちは、何に耳を傾けているのでしょう?
いえ、耳を傾けるということがあるのでしょうか?
コロナの様々な規制の中で、お互いのコミュニケーションの機会も十分取れない中で大きくなった子どもたち。
毎日、元気に大声で遊んでいる子どもたちを見ると、耳を傾けることの大切さを思う今日この頃です。